2026/04/01 Wed 曇のち雨 ぶどう農家民話・僕は養子

僕は養子だ。隠すこともない、皆知っている。
だけど実子を亡くしたばかりの母は、僕を天からの授かりものだとか、運命の子供だとか感じてくれたそうだ。
母は僕を溺愛し、父も本当の子以上の愛情となおかつ厳しさをもって育ててくれた。父が言うには僕は「この村で生きづらい」からだ。
言葉も上手くしゃべれない、歩くのも遅い、容姿も劣っている、そんな僕だが村の皆は優しくいたわり、仲間として迎えてくれた。しかしそれに甘えるばかりではいけない。父は常々そう諭したものだ。受けた物以上を返すことを考えろ、と。
そんな大層な事がこんな出来損ないの僕に出来ようか、僕以上に父は半信半疑だったはずだ。まさか本当にそんな日が来るとは思いもしなかった。
村は代々、山を治めていた。ふもとの、『谷の民』とは触れ合わずお互い関わらずが暗黙のルールだった。
しかしその掟が破られつつあった。谷の民は山の富を目当てに境界を侵し始め、資源を漁り、あろうことか我々を倒さんと各所に罠を仕掛けるようになったのだ。
罠は残忍で致命的な装置だった。運悪く掛かってしまうと我々の力では外すことができない。それでも解除策を講じて被害者のそばに留まっていると、強靭な武器を手にした谷の民が群衆でやって来てもろとも殺されてしまう。そのため、罠に掛かると泣く泣く被害者を見捨てざるを得なくなるのだ。
初めて僕が能力を発揮したのは、幼馴染の女の子が罠に掛かった時だった。解けない罠をジャラつかせて泣き叫ぶ彼女の母親の嘆きは皆の心を引き裂いた。突き動かされるように僕は歩み寄って罠を触ると、ものの数分で外すことに成功したのだ。
皆歓喜し、僕は絶賛された。
「スゴい能力だぞ、ボウズ! これがゴッドなんとかってヤツか」
それから我らには怖い物はなくなった。罠に掛かってももう大丈夫、僕という『ゴッドなんとか』がいるのだから。
明るくなった空気と反対に、母は時おり物憂げな顔をするようになった。母親の勘で、不気味な未来を感じ取っていたのかもしれない。
罠が効力を果たさなくなったので、怒った谷の民はある夜、我らの村に焼き討ちを仕掛けた。
燃え盛る火の手にはさすがの僕も太刀打ちできなかった。村長が下した決断は『棄村』だった。丸い月だけが照らす夜闇の中、着の身着のままとにかく逃げるのだ。僕の背に冷たい物が走った。僕は速く走れないのだ。
「私が背負います」
思い詰めた表情で母が言った。
「この子も、村の仲間です」
しかし村長の返事は冷徹だった。
「無理だ、ボウズはもう重すぎる。それに、この子には谷の民は手出ししないだろう」
村長の命令は絶対だ。しかし母は声の限り抗った。
「イヤです! 私の子です! 私が育てたんです!」
僕は母の柔らかい毛が大好きだった。母と父と、川の字で眠る夜がなにより幸せだった。
僕は父に頷いてから、しゃべりが得意でないものだから、どもりつつも必死で話した。
「僕は残るよ。そして、谷の民を少しでも食い止める。だから皆は逃げて。少しでも遠くへ逃げて。」
それが僕の、両親への、村の皆への恩返しだから。
村長は目を潤ませながら、安心させるように鼻をこすりつけた。
「谷の民はお前に悪い事はしまい。お前はヤツらにソックリだから」
次の瞬間、僕らを護り慈しんできた闇を切り割いて、火と蛮族の群れが現れた。
「逃げろ!」
と叫んだのは村長だったか僕だったか。
僕はヤツらに向き直ると思いきり両手を広げ威嚇した。ヤツらが驚いてひるんだその一瞬の隙に仲間を振り返ると、哀しみをいっぱい溢れさせて立ち止まる母の瞳があった。
村の皆とは違う、平べったく音が抜けづらい口を力の限りすぼめて、僕は絶叫した。

『…そこで狼少年が遠吠えしたんですよ』
都会から来た記者に猟師が語った当時の記事が残っている。
『狼少年が戦慄するばかりの遠吠えをあげたものだから、その場に居た者全員凍りつき、狼の一群すべて残らず逃げられてしまった』
狼少年の現在の所在は、分かっていない。

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2026/03/31 Tue 雨のち晴 花ざかり

昨日くらいでしたか、帰宅時にうちの町内の桜が四分くらいの咲きっぷりになっているのに気付きました。
今日は、川崎の吉井川沿いの桜が七分くらいなのを発見して、ココのはなんか映えるよなとちょっと見入ってしまいました。
桜の名所で知られる津山城も満開に近いらしいです。
近日中に我らも花見に行かなければ・・・。とりあえず、桃に続いてグミも花が姿を現してきました。

2026/03/30 Mon 晴 天然の密室

夫が第3畑でマイクロユンボを使って切り株を抜いている時、同じく第3畑で別作業をしていた私は必要が生じて第1畑横の作業場に戻りました。
少しそこで時を過ごして、また第3畑に戻ってみると夫とユンボが居ません。
ただ、切り株の抜けた穴がぽっかり開いていて、お腹のずっしりしたカラスが興味ありげに周囲を右往左往しているだけです。
私が見ているのが気になるのか、さらに写真まで撮ったせいか、カラスも飛び立ってしまいましたが。
夫が居ません。ユンボもありません。道は一つしかなくて、すれ違っていません。
第3畑の横は雑林で見分けられませんが、10メートルほどの崖になっています。
落ちた・・・のか?
必死で下を伺っていると電話が鳴って、夫でした。私がさっきまで居た、作業場に居ました。
ユンボは一時的に第3畑の倉庫に保管して、夫は単独で道ならぬ道を通って戻ったそうです。
落ちていませんでした。でも危険なので気を付けてください。

2026/03/29 Sun 晴 イースターの一週間前に

来週がイースターなので、私は「『パッション』を観る会」に参加して『パッション』を観てきました。
初見になります。
かなり凄惨と聞いていたので避けていました。公開当初は米国で死亡者が出た等吹聴されていたような記憶があるし、『聖おにいさん』でもイエスとその弟子が鑑賞して怖がる描写が確かありましたよね。
なので、覚悟を決めて見たのですが、思ったほど恐ろしくなかったです。見ちゃいけないポイントで目をつぶったせいかもだけど。
そして、良い映画でした。話を聞いても頭の中で形作るイメージはジャポニズムな感じが入ってしまうのですが、本当はこんな感じなんだと正しいイメージが伝わりました。メル・ギブソン監督スゴい。
一方夫は、一人で頑張って犬の世話と畑仕事に一日精を出してくれました。夫えらい。

2026/03/28 Sat 晴 アオ離脱

管理機のアオさんがまた壊れました。
今までの「なんか調子が悪い」みたいなあいまいな不具合でなく、はっきりと間違いなく壊れたのです。
先日で今シーズン分終了だったのがついでにする箇所が生じて、ちょっとだったのでもう終わるーという時「ブチッ」みたいな音がして手元のアクセルがだらんとしたのです。
すぐエンジンを止めて確認すると、おそらくハンドルから伸びていたワイヤーが外れていて、止めていたと思われるプラスチックの破片が見つかりました。
これを壊れたと言わずして何を壊れたと言えるのか。
夫を呼んだら理解してくれて、圃場から出そうにもアクセルが掛けられないので人力で引かなくてはならない状態。
間の悪いことに、傾斜のある畑の最底部だったので、全登り行程を重いアオさんを引きながら持って行ってくれました。
仕方ないので、未完の作業はアオさんの代わりに私が人力で行いました。
アオさんは、ほぼ毎シーズン入院します。兄犬より脆弱かも。
桃です。紛らわしくてすみません

2026/03/27 Fri 晴 蜜月草刈り

草刈りの後、座り込んで足を放り出して休んでいると、ズボンの裾にホトケノザの花が一つ付いていました。
あー春だなぁ嬉しいなぁ。と思います。
あと、切り込んだ雑草の短い行程を繰り返し登るてんとう虫も。
春はいいなぁ、草刈りは楽しいなぁと気まぐれに思うのですが、ちょっと暑くなると気が重くなり夏本番となるとうんざりなのです。
今年は初心を忘れることなく、猛暑でも草刈りガンバローと今は思うのです。

2026/03/26 Thu 晴 春のご馳走

今月もさくらワークヒルズさんのお弁当販売の日がありまして、注文しました♪
今回は、いつもの焼きそばと菜の花ご飯のセット。そして、いちご大福です。
まず焼きそば。こちらの焼きそばは本当に美味しいです。ごんご祭りの時に出店されるそうなので、買いに行こう。
菜の花ご飯は、具だくさんの炊き込みご飯でした。そしていちご大福。どちらも美味しかったです☆
春を感じる献立に癒されました。ありがとうございます(*˘︶˘人) 
暖かいし春を極めようと、イスを出して陽の下で食べようと試みたのですが、残念ながら風が強すぎて断念。この時期、午後は風の強い日が多いです。