錦華鳥の寿命は4~5年らしいのですが、父鳥は見るからに年老いて、羽はバサバサで飛ぶこともできなくなり、籠の底をよちよち歩く日々が続いていました。
それだけならまだしも、ここ3週間は時々ダンゴ虫のようにひっくり返った状態から自力で戻ることができず、気付いた私か夫が元に戻してあげていました。
当初は、仰向けの状態でバタバタ羽をバタつかせていたものですが、最近は誰かが直してくれると気付いたのか騒がずじっと控えて待っていました。
そのため、ふっと見ると仰向けにジッとしているものですから、とうとう来たか、とギョッとすることが幾度もありました。
昨夜、私が姿勢を戻してあげて、今朝いつものように夫が戻そうと手を添えた時に、冷たくなっているのに気付いたのです。
父鳥は、一羽残された娘鳥と一緒に生活していました。
娘鳥は、父が心配なのか、特にここ数日は隅に縮こまる父鳥にぴったり寄り添って過ごしていました。
老齢したみすぼらしい父鳥を、労わるように、残された時間を慈しむように体を寄せてじっと小さくしていました。
こんな小さな鳥だけど、いのちとはなんと美しいのだろうと幾たびも思ったものです。
父鳥は、庭の花の横に埋めてあげました。
今夜は、彼の昔の写真を見返しています。たった4年、けれど彼にとっては激動の人生でした。